ラケット
ほっそりとした二十歳ぐらいの女性が
動揺されながら、私の前にあらわれてくださいました。
お伝えしてゆく中で
突然、ラケットを見せられました。
「 ラケットを私に見せてくださいました。」
とお伝えしますと、
ご依頼くださった方は、声をあげて泣かれ、
「 私の娘です。」
そうおっしゃいました。
娘さんも自分だと認めてもらえてとても嬉しそう。
そうして、
娘さんは、いろいろ話してくださいました。
< お父さんに 悪いことしたね・・・
私の花嫁姿を見せてあげれなかった・・・>
< お母さんに これは強く言ってほしいです。>
( どうぞ、おっしゃってください。)
< 自分を責めすぎて・・・ してはいけないことをしないで。
(自死を選ぶこと)
そんなことしたら、お迎えに行かないよ。って。>
言葉を変えて、そうお伝えしますと、
「何度か未遂をしたのです」
とご依頼人さんはおっしゃいました。
娘さんは、
< 自分の病気は誰のせいでもない!>
そう強くおっしゃっていました。
ご両親が 天命を全うするその時には
< 必ず 私がお迎えに行くから!>
と。
両親の愛をたくさん感じ、
天国で成長され続ける娘さん。
<お母さんが悲しい時はいつも傍にいると伝えてください。
あ!じゃー、いつも傍にいるってことになるわ!>
ご自分で言って、ご自分で笑っておられました。
ご依頼人さんは、ずっとご自分を
責めて、責めて 責めておられました。
夜は 眠れず、お薬を飲まれて
ようやく眠れる日々と伺いました。
何年もの間、ずっと。
娘さんとの対話が終わる前には
お母さん、娘さん 双方の心が
互いに寄り添い、穏やかになってゆかれました。
言葉がなくとも、それは伝わります。
それを確認したかのように、
娘さんは 私から離れてゆかれました。
私も おかげさまで、
肩の荷が降ろせました。
本当に、良かったです。