お父さんっ子
うぐいすの声が 遠くから聞こえてくるようになりました。
葉山に越してきた時には隣に草っ原があり、桜の木などもあって
木々には様々な小鳥たちや虫たちが居ました。
春の訪れを知らせてくれるうぐいすの可愛い声の成長具合が
楽しみでした。今はその木々や草っ原もなくなりました。
遠くからでも聞こえるうぐいすの声に 懐かしさを覚えます。
数年前に一度ご依頼頂いた、Nさん。
数ヶ月前のことでさえ、一週間前のことでさえ、私の内からは
きれいに流れ出してしまうあちらとの交流。
お顔は一度拝見しますと絶対に忘れないのが特技と言えば特技。
お待合せ場所に行き、すぐに、Nさんと分かりました。
今回は、ご主人もご同席。
男性が同席されるのは、勇気の要ることです。
本当にそう思います。
いつもの如く、朝からバタバタしている私に
端的な・・・短い言葉での “アドバイス ” というか、
つっこみを入れてくださる若い女性がおられました。
いえ、実のところ、その当日の朝からではありません。
前夜から、でした。
そうだとわかっていたのですが、家族の手前 平然を装い、
あくまでも普通にしているのが 子どもの頃からの私なりの
家族への思いやり。他への礼儀。
いろいろとお考えになっていて、何から話そうか、何を言おうか、
決められた時間内で効率良く話すこと・・・
そうしたことを とても綿密に繊細にお考えのようでした。
肉体の有無に関係なく、その若い女性のお気持ちやご心境を
尊重して そのご様子をそっと見守ることにしました。
Nさんご夫妻が来られる前に、彼女は私に話してくれました_
<・・・親・・・手を・・・にぎり・・・・>
( ご両親の手をにぎりたい、のですか? )
何度か尋ねるものの、返事は返ってきません。
しばらくして、さっきと同じようなことを話されましたが
はっきりとは 聴き取れませんでした。
( 手をにぎりたい気持ちはわかるけど・・・でも、何かが違う。)
おふたりを部屋へお迎えして、
「 若い女性が来られています。」と伝えただけで
Nさんは「 娘です。」とおっしゃいました。
ご性格やお人柄を中心にお伝えしてゆき、頷かれるNさん。
「 忘れないうちにおふたりがお越しに成る前のことをお話しします。
『・・・親・・・手を・・・にぎり・・・・』というようなことを言われ、
私は、ご両親の手をにぎりたいのですか?と思いましたが、
” 何か ” がしっくり来ないので、このことは保留にしておきます。
必要があれば、おっしゃりたかったら、また後で話してくださると
思います。」
そうお伝えしました。
< 両親は・・・一緒に仕事を・・・>
「 はい、一緒に仕事をしています。」
おふたりの心に少し変化があったのでしょうか、
その先から少し滑らかに私に届くようになりました。
「 娘さんが『 仕事のこと、これはこれから先のことを意味します、
おふたりのお仕事のことは心配しないで。』とおっしゃっています。」
ご夫妻は、顔を見合わせておられたのではないかと思います。
思いあたることが おありのご様子。
「 家の中か・・・家というよりも建物という空間が視えます。
娘さんは、じぃっとご覧になって、ぐるっと室内をご覧になり、
チェック的なことをされているようです。」
「 家かしら、仕事場かしら。」
「 家、家庭、という感じの空間には思えません。
上の方をご覧になったりしています。
壁に何かが貼ってあるのかな・・・」
「 仕事場だわ・・・。」
「 そして、これは、いる、やっていく、
これは、要らない、やめる、といったような判断的なことをです。
おわかりになりますか?」
思いあたるようなところがおありだったように思います。
ご依頼人の方のお顔やしぐさを見て判断しない私は、空気で受け取ります。
表情や言葉よりも確実なのは、私にとって ” 空気 “。
ふいに娘さんが、お父さんに 甘えるような様子を視ました。
「 しっかりした娘さんなのに。(不思議だなぁ)
お父さんに甘えておられます。娘さんは、お父さんっ子なのかな。」
「 はい。」
「 けれども、そうではなくなりました。長女だけど、長男のようです。
しっかりとされていて。余計なことは言われない。」
「 はい。男みたいでした。ねぇ。」
「 でも、娘さんは甘えん坊です。私から拝見するとそう視えます。」
「 はい。」
次第に、娘さんの感情が高まり、それをどう伝えようかと考えつつ・・・
伝えないわけにはいかない!この一心になりました。
「 私から言うのもなんですが、娘さんはお父さんと話したいと
心から望んでおられます。
こういう場を信じるのは難しいと思っていますが、
娘さんは 心の中ででも何でも話してほしいようです。」
私は、娘さんに代わって、そうお願いしました。
心の中で話しかけてほしい_
いつか、そうすることが自然になるなら・・・
そういう思いでお父さんに申し上げました。
けれど、すべては 本人の自由。
無理に、不自然にすることは 私は望みません。
あちらも もちろん そんなふうなことを言ってこられません。
しばらくしてから、
お父さんがぽつりぽつり、話し始めてくださいました。
娘さんの性格や 頑張ってこられたことなど、
娘さんが他界されて数年経った今も、お友達や上司の方が来てくださること。
「 私たちは、本当に有難い、救われています。」と おっしゃっていました。
お父さんが話されている途中に、
< ・・・親・・・手を・・・>
と娘さんが話しかけてくださっていました。
その直後か、ほぼ同時ぐらいに
お父さんが しみじみと ” その ” ことを話し始められました_
「 娘の手がだらんとしていたままでした。
最期が近づいていると思い、娘の手をにぎらせたんです。
そしたら、ふぅ・・・と息をして。」
< 安心できたの。>
(そうですか。)
「 穏やかに逝かれた。」
「 そうです。穏やかでした。」
< ありがとう と 言って・・・>
(もちろんです。)
「 娘さんが『 ありがとう。安心できた。』とおっしゃいました。」
「 そうですか・・・手をくませたから、しんどくなったのかと。」
「 いえ。娘さんは 穏やかでした。ありがとう と。」
鈍い私をつつくように娘さんは、閃きをくれました。
「 あ! 娘さんがおっしゃっていた意味がわかりました。」
おふたりは 多分、キョトンとされたと思います。
「 私は、ご両親の手をにぎりたい、触れたいのかと最初思いながら、
何かが違うと思って『 これは保留にします。』と申していたことです。
お父さんが手をにぎってくれたことを娘さんは伝えたかったんです。
それが、自分だという証拠にもなると。
そうお考えだったんです。
お父さん、ありがとうございます。これでわかりました。」
おふたりの空気をさらに感じ、部屋の中の空気が一体になりました。
それでは、いつものように
頂いたメールの一部に助けて頂きます。
– – – – –
本日はありがとうございました。
ひとりきりの娘を亡くし、悲しい思いと同時に
この先どのようにしたらよいのか主人といつも話しておりました。
でも娘もいつも一緒に仕事のこと、さきのことを考えてくれていると聞き
うれしく思います。
こちらにいるときは、絶対あとはつぎたくない と言っていたのに
亡くなった後、娘を知る皆さんは「いずれは私があとを継ぐ」と言っていたと
口をそろえておっしゃるので、そうなのかなあと半信半疑で聞いておりました。
きっと本人は恥ずかしいのか、甘えなのか、親には本心を言いにくかったのでしょうね。
本当にそんな子でした。
小さい時から父親っこで、それが大きくなったら素直に話せなかった
男みたいなところがあったのに 本当はもっと甘えたかった、娘らしいです。
いつもは娘の写真を見つめるだけの主人でしたが
これからは もっと心で娘の話しかけるようにすると言っておりますので
娘の希望がかなうといいなあと思います。
– – – – –
メールを頂いて、本当に良かったと思いました。
娘さんの心が ご両親に届き、
お父さんに届いたようです。
ずっと静かに 黙って聴いておられたお父さん。
娘のことを話される時のお父さんの瞳は
とても深い愛でいっぱいでした。
ふと 私は 昨年他界した父のことを 思い出しました。
いろいろなことがあって、
彼女のように 父親っ子ではありませんでした。
父には気の強いだけの娘に思えたかもしれません。
それでも、ある時 ある一言がキッカケで 私の心にあった棘が
溶けてなくなりました。
他界後の父を 心配したことは ありません。
他界したって 父は父。
彼女は、父親っこ。
あの時の彼女に 戻っていると思います。
両手を広げて、お父さんに抱きつき、
< お父さん、大好き!>
そう思ってるんじゃないかなぁ。
もちろん、
お母さんのことも大好きなんですよ。
つっこみを入れるぐらいですから!
可愛い花が咲き出しました。
折れた枝だったのにね。
そのままだと、道やどこかに置き去りのまま。
心無い人がぽきっと折ったのか、強風で折れたのかは わかりませんが
どこかの誰かが拾って、水を毎日変え、暖かいところに置き、
愛情をかけて、楽しみにして・・・
毎日、心の中で声をかけられて。
こんなに美しい花が、咲きました!
もう春はそこまでやってきていますね。
アガサ 葉山在住
天国との対話 愛しい家族との時間
~天国の人々の思いを伝えています~
見失いそうになります。
信じられなくなります。
時々、どうしようもなく。
こうした記事を読むと、とても嬉しくなります。
涙が出てきます。
今日もブログ、
ありがとうございました。
こんにちは、ここにくることは私の日課になってしまいました。
いつも穏やかになれます。
そして今日拝見してやっぱりって思いました。
男勝りの娘さんがアガサさんの前で甘えん坊の、本当の気持ちを想いを素直に伝えられたのはアガサさんのお人柄がそうさせるのでしょうね。
以前の「会えるんだよ」
にも感動しました。
今までは誰かに早く娘に逢わせてほしいとただそれだけでしたがこんな気持ちでその時間を大事に待っている自分にびっくりしています。