心のシャッター

老眼だけど、視力は子どもの頃からとても良い私。

今も結構遠くまで見えるのです。

ご依頼人の方とお母さんが来られる少し前から、

私は目の周りの筋肉というか肌というのか、

そのあたりがキュキュと動き始めました。

( 目が悪いのかなぁ・・・)

何の返事もないまま、その動きが続きました。

( 焦点を合わそうとしているの?)

返事はありません。(苦笑)

そうこうしていますと、ご到着の電話連絡を頂きました。

ご依頼人は娘さん。

「 いらんものがついてきて すみません。」

そうおっしゃったお母さん。

お母さんに会えたのがとても嬉しかったのです。

何故だか、すごく懐かしかった。

最近、日本のお茶を淹れている私。

棒の部分のほうじ茶。とてもほっこりする懐かしい味です。

口の中を少し潤してから、静かにしていますと、

お母さんの近くに、中年の男性が立っておられました。

とてもお母さんを慕っている様子。

そして、

心がピシャーーーっとしている。

まるでシャッターを閉めたような感じでした。

( さぁ・・・どうするかだ。)

交流をしていて難しいと感じる時のひとつに、

心を閉ざされている方との交流があります。

でも、

私には自分の経験があります。

そうこうしていると、ぽつりぽつり伝えてくださいました。

「 ご主人は、心のシャッターを降ろしていますが、

 これは今に始まったことではありません。

 子どもの頃からのことでした。

 育ってこられた環境による影響が大きいです。

 Hさんのお母さんを本当の親のようにご主人は思っておられ、

 何でも話せたのです。

 自分の言うことをただただ聞いてくれる、耳を傾けてくれる・・・

 彼にはそうしたことがとても嬉しかったし、

 安らぎを感じていたのです。」

そのようなことを伝えはじめた私は、

彼の心を代弁しているかのようでした。

Hさんとお母さんは、頷きながら認めておられ、

泣いておられたように思います。

後半あたりで覚えていることが少しあります。

< ・・・ごめん。>

そして、ありがとうの言葉。

普段から、自分の気持ちを言う人と違い、

自分の気持ちを言うことに慣れていない人の言葉は

とても重いのです。

” そんな言葉、誰でも言うんじゃないの?”

もし、そう思う方がおられるとしたら、

ご自分の日常や今まで歩まれた人生をしみじみと

思い出されたら良いと思います。

人生は、他の人のコピーではないのです。

兄弟姉妹であっても、全く違います。

この意味は、Hさんから後日頂いたメールから感じとって

頂きたいと思います。

– – – – –
(略)

昨日という日がかけがえのない一日になりました。
正直、夫は来てくれないんじゃないか、私に逢いたくないんじゃないか…
そんな不安がありました。
でも、来てくれた。
嬉しかったです。
本当に嬉しかったです。
もし、来てくれたら聞きたいことが沢山あったけれど言葉にならない思いでした。
こういう機会を持てたご縁に感謝いたします。

母も大変、喜んでいました。
夫が来てくれたうえに父も一緒に来てくれて言葉を聞けたことが嬉しかったようです。
同席できて本当に良かったです。
(中略)

母は(中略)夫のことを息子以上に大切に思い尽くしてくれました。
そして、義両親にも私を可愛がってもらいたい親心から尽くしてくれました。
なのに…人生とは…。
夫が発病した時、心のどこかで自業自得と思う私もいました。
しかし、それ以上に夫婦そして家族の在り方を見つめ直し絆を強めるきっかけにしたい。
夫がこの病になったのは意味があるのだ。
大切なことを気付かせてくれているのだ。
そう強く思い、夫の病を夫婦で家族で克服したいと、
できることは精一杯、努めたつもりでした。
なのに、逆効果。距離感は広がるばかりでした。
分かり合いたくても言葉がなかった。
何をしても独りよがり。
空回り。
毎日がギリギリのところで生きている感覚でした。
寄り添いたいと思っていた感情は負のエネルギーの強さに嫌気がさし、
いつしか諦めと憎しみに近い感情に変わってしまいました。
愛の深さと同じ分の嫌悪感が私の心を支配していきました。
でも、結局は見限ることも見放すこともできませんでした。
やせ我慢をしながら強くなり過ぎて、踏ん張って支えることしかできなかった。
優しさで支えることができなかった。
夫に私への愛情がなくなっても私は夫を憎みながらも愛し続けていたのです。
(中略)

ただ、昨日、夫が来てくれたことで私の中に穏やかな光が射し込んだような感じがしています。

– – – – –

< ごめん。>

< ありがとう。>

この言葉は、3文字と5文字。

深く、本当に深い言葉だと実感しながら伝えました。

実際、私の胸の内、そして、口から発することに

ご主人が重なっていて、私自身は横に居たような感じでした。

伝わる量(話される量)ではない、と思っています。

「たくさん話されること=通じている(良い、素晴しい)」

では ありません。

生きてきた歴史(日常)が 詰まっているからです。

さりげなく、もうひとりいらっしゃることに気づきました。

年配の男性。

背格好や髪型やお人柄などをお伝えしただけで、

お母さんのご主人、Hさんのお父さんだとお分かりになりました。

娘を思う言葉を言われ、

妻には、

< まだまだ こっちには来ねぇぞ。笑>

とおっしゃりながら、

< そんときは、迎えに くっから。(行くから)>

と添えて。

Hさんとお母さんは、顔を見合わせて泣かれていました。

なにやら、母と娘で思うところがあったのでしょう。

お父さんは、お節介にならないように、

義息子によりそって来られたのです。

もっとも、そんなことをご自分からはおっしゃらない。

そのさり気なさに、お父さんの娘への愛情、

妻への愛情を感じました。

過去は、過去です。

過去の辛さや悲しさを今に継続して生きることは

おやめになった方がいい。

これから、です。

遅い、とは少しも思いません。

心にシャッターがおろされていたって、

ずっと おろしているわけではありませんもの。

相手がどうであれ、

まずは、自分の心のシャッターをあげること。

それが良いと思いますよ。

< ごめん。>

< ありがとう。>

そうおっしゃったんです。

今までは、今まで。

これから、ですよ。

これから!

< 女ばっかりで 仲良くしろ。笑>

仲良くお暮らしください。

※そうそう。
目の周りをキュッキュするのは、ご主人の癖だったようです。
伝え忘れて、メールで確認をするなんて・・・
どれだけ物忘れが激しいのでしょうね。すみませんでした。


” そろそろ、ごんの写真を載せて欲しいなぁ〜・・・”
という空気を読みました(笑)。
大抵は、玄関でこのように寝ています。
鼻息部分が、水浸しになります。
動物がいますとやっぱりニオイがするんですよね。
だから、
ご来客がある時には、インセンス(天然成分100%の線香)を焚きます。
それで、ごまかしている、っちゅ〜わけです。(笑)

・・・ごまかせてるかなぁ・・・?

+2

3件のコメント

  • お待ちしていました。
    ごんちゃんの写真には、いつも、本当に癒されます。
    後ろ姿だけで、なぜこんなに愛らしいのでしょう。
    シャッターですか、、、私自身がシャッターを降ろしているかもしれないです。ごんちゃんの写真に、私のシャッターが開くといいのですが。

  • ごんちゃん
    元気そうで嬉しいです(*^^*)
    隠れファンです♪

  • なおこさん、ありがとうございます。
    ふふふ。
    ごんは、一番人気です。
    随分とおじいちゃん犬になりました。
    若い頃は、人に近寄ってなでられるというのが嫌な犬でした。
    ところが、年を重ねるに連れて、自分から近寄っていきます。
    不思議に、私が苦手なタイプ(例:散歩のマナーの良くない方)には
    近寄りません。(大笑)
    ごんの病気が、家族との結束を強くしたと思います。
    動物ってすごいですね。
    生きている姿が、私たちの心を和ませてくれるのですから。
    私も、ごんが大好きです。
    有難うございます。
    アガサ

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